トランペット奏者必須の楽曲・アーバン『12の幻想曲とアリア』 　　　　トークと全曲演奏!!!(約３時間) 坂井俊博(コルネット) & 鈴村真貴子(ピアノ) ・・・・・・・・・・・・・・・・ 　アーバンは、19世紀中ごろから、終わりにフランスで活躍した、コルネットソリストで作曲家、そして、パリ音楽院の教授でもありました。そして、彼の名前が後世までこんなにも有名になったのは、彼のコルネットメソッドによるものです。300ページ以上ある、この分厚い本は、最初、パリで出版され、有名になり、世界的に広がって、アメリカでもカール⋅フィッシャーが独自に依頼し、1912年にアメリカン新版を出版しました。それは、日本にも輸入され、戦前から、日本でもアーバンが良く知られたメソッドでありました。そしてこのメソッドは、トロンボーンなど他の金管楽器のためにも編集され、盛んに利用されています。 　アーバンは、作曲家としても２００～３００曲を作曲したと言われていますが、その多くは失われてしまいました。近年、ヴェルディやロッシーニのオペラアリアをテーマとしたオペラファンタジーが少しづつ出版されています。 　今日、私が演奏する、１２曲は、アーバンのメソッドの最後に、総仕上げの意味合いをもたせて、アーバンが書いたものです。 　アーバンは、メソッドの中でも新しい楽器であるコルネットを、すでにあるフルートやヴァイオリンのように認めてもらいたい、そのためには、こういう風に吹きなさい、という教えが沢山あります。それは、正しいスタイルで音楽的な演奏をしなさい。ということです。そして、それを可能にするには、完璧な舌のテクニックが必要になる訳です。私は、アーバンのタンギングテクニックは、単に見せ物的要素だけではなく、音楽的表現力のために、非常に大切だと思っています。 　　　　　　　　　　　坂井俊博 2020.夏 　　プログラム １． ベルリーニのオペラ「テンダのベアトリーチェ」からのカヴァティーナによるファンタジーと変奏曲 ２． マルク-アントワーヌ・シャルパンティエの狩りのオペラ「アクテオン」によるファンタジーと変奏曲 ３． 輝かしい幻想曲 ４． 「チロルからこんにちは」による変奏曲 ５． 「きれいな雪」の歌による変奏曲 ６． カヴァティーナと変奏曲 ７． 民謡「スイスの男の子」による変奏曲 ８． 奇想曲と変奏曲 ９． ドイツ民謡によるファンタジーと変奏曲 １０．ウェーバーのオペラ「魔弾の射手」のアリアによる変奏曲 １１．「ヴェニスの謝肉祭」によるファンタジーと変奏曲 １２．ベルリーニのオペラ「ノルマ」の主題による変奏曲　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・・・・・・・・・・・・・・　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　演奏者プロフィール 　コルネット　坂井俊博 1974年東京藝術大学入学、同年、第43回日本音楽コンクール管楽器部門、第一位入賞。1978年プラハの春国際コンクールで第5席入選、1979年ミュンヘン国立音楽大学入学、P.ラッヘンマイヤー氏に師事。1980年カッセル国立歌劇場管弦楽団に入団、1981年ツーロンとジュネーブの国際コンクールで入選。ボルドー音楽祭で銅メダル受賞。1985年帰国。1992年国際交流基金よりパラグアイに派遣される。1993年東京シンフォニエッタ創設に参加。1997年指揮活動を開始、ソリスト、指揮者としてメキシコ3都市を訪れ、1998年から2004年まで東京室内管弦楽団の指揮者を務める。2004年東京藝術大学附属音楽高校非常勤講師就任、東京シンフォニエッタメンバーとして、ルーアン、メッツ、パリ、カラカス、アリカンテ、アレキサンドリア、カイロ、アムステルダムで現代音楽祭に参加。 　ピアノ　鈴村真貴子 東京藝術大学音楽学部器楽科(ピアノ専攻)を卒業し、同大学院修士課程を首席で修了。2011年に同大学院博士課程を修了し、フランシス・プーランクの演奏法に関する論文と演奏で博士号を取得。その間、文化庁海外派遣芸術研修員、明治安田クオリティオブライフとしてフランスへ留学、ディプロムを取得。現在は演奏活動に並行して、東京藝術大学、桐朋学園芸術短期大学、愛知県立明和高等学校音楽科でも後進の指導にあたっている。